生活保護

様々な事情により、どうしても生活に困ってしまっている人は、福祉事務所の担当窓口で相談をすれば、生活保護を受けることができます。生活保護を受けるにあたって気になるのは、「そもそも1ヶ月にいくらくらいもらえるのか」ではないでしょうか。

せっかく費用を支給してもらえるとしても、生活保護の支給額で暮らせなければ、意味がないと感じてしまうこともあるでしょう。そこでこの記事では、生活保護の金額を1ヶ月にいくらもらえるのか、条件ごとのおおよその支給額を解説します。

受給金額の決まり方も解説するので、参考にしてください。

生活保護を受けられる人の条件は4つ

そもそも生活保護を受けられる人は、厚生労働省によって、「資産や能力等全てを活用してもなお生活に困窮する方」と定められています。

つまり、誰でも生活保護を受けられるわけではなく、相談をした際に「生活保護が必要」と判断されなければいけないことに注意しましょう。

  • 生活に使っていない土地や家屋などの資産があるなら、売却するなどして生活費に充てる
  • 働ける人は、能力に応じて働いている
  • 年金や手当などを受けられるなら、すでに活用している
  • 親族等に援助を受けられるなら、受ける

主に以上4つを既に実践して、なおも生活が苦しい時に、福祉事務所や町村役場へ相談しましょう。

生活保護の受給金額は人によって大幅に異なる

生活保護の受給金額は、以下の3のような様々な条件によって変化するので、もらえる金額は人によって変わります。

  • 住んでいる地域が当てはまる「等級地」
  • 家族構成(一人暮らし、母子家庭など)・年齢
  • 障害の有無

3つのポイントをそれぞれ解説するので、ご覧ください。

1 住んでいる場所ごとに、「等級地」が決まっている

生活保護を受ける際は、「級地制度」に注意が必要です。

級地制度では、日本全国の都道府県・市町村が細かくランク分けされていて、住んでいる場所によって生活保護の支給額が変化します。

級地制度が存在する理由は、同じ日本でも地域によって生活に必要な金額が異なっているので、生活に必要な費用は変わってくるからです。

例えば食料品を買う場合、同じものでも地域によって販売価格が違うことがあり、もしも全国同じ受給額だと、片方はお金を余らせ、もう片方は足りずに生活が苦しいまま、という事態が起こってしまうでしょう。

基本的に都市部は物価が高いので、等級地のしくみにより受給額も高額になりますが、地方だと安いので少額になる傾向であることを覚えておきましょう。

2 家族構成や年齢によっても金額が変化する

生活保護を申請した家庭の家族構成や年齢に応じて、受給金額は変化します。家族構成は、当然ながら1人よりも2人以上の方が生活に必要な金額は大きくなります。

2〜6人で暮らす世帯は該当する地域における単身の受給額の上限からさらに1.3倍まで、7人以上だと単身の1.56倍までの支給を受けられます。

年齢は、高齢者ほど良いわけではありません。

20代など若い年齢だと、必要な食事の量など様々な関係により、必要となる金額は大きくなりがちなので、むしろもらえる金額は上がる傾向にあります。

3 障害がある人や母子世帯は生活扶助が加算されるが、同時適用はできない

障害を持っている人や、母子家庭の場合は、生活扶助が加算されます。

しかし、複数の生活扶助条件を満たしているからといって、同時に適用して高額な受給を受けることはできないのでご注意ください。

生活保護の費用は8種類。最低生活費は毎月支給される

生活保護の費用(扶助)は、以下の8種類に分けられます。

  • 生活扶助
  • 住宅扶助
  • 教育扶助
  • 医療扶助
  • 介護扶助
  • 出産扶助
  • 生業扶助
  • 葬祭扶助

以上8種類のうち、「生活扶助」と「住宅扶助」は毎月支給される金額で、他の6種類は必要に応じて支給されます。

各項目の内容をかんたんに紹介するので、ご覧ください。

生活扶助(最低生活費)

生活扶助は最も大きな金額で、

  • 食事などで使う第一類
  • 光熱費など、世帯に必要な第二類

以上2つが合算されて決まります。

生活扶助は最低限生活に必要なお金なので、生活保護を受ける場合は必ずもらえます。

なお、母子家庭など特定の世帯に当てはまっている場合は、特別に加算が追加されることもあります。

住宅扶助(最低生活費)

住宅扶助は、アパートなど家に住むために必要な金額を受給してもらえる「最低生活費」です。いくら食事や光熱費を確保できても、家に住めなければ意味がないので、最低生活費に含まれるのは当然でしょう。

なお、自分の土地や家などがある場合は基本的に「生活に使える資産がある」ということになり生活保護を受けられなかったり、住宅扶助はもらえなかったりする可能性があるのでご注意ください。

教育扶助

教育扶助は、義務教育を受けるために必要な学用品を買うための費用で、定められた基準額が支給されます。子供がいる家庭では、教育扶助を中学生までもらえると考えておきましょう。

高校以降は義務教育ではないので、基本的に教育扶助はもらえません。ただし、高校以降における必要資金は後ほど紹介する「生業扶助」により支給してもらえます。

医療扶助

医療扶助は、病気や怪我などにより医療サービスを受ける際に、直接医療機関に支払われる金額です。

つまり基本的に、受給者本人が現金を直接もらえるわけではなく、医療扶助ではサービスを受けたり、薬を受け取ったりする形となります。

介護扶助

介護扶助では、受給者の介護において発生した費用を、直接介護事業者へ支払うしくみです。

医療扶助と同様、受給者が現金を直接もらうものではありません。

高齢者などで、介護が必要な場合は、介護扶助を受けられます。

出産扶助

出産扶助では、生活保護受給者が出産をする際にかかった費用を、定められた範囲内で実費として支給してもらえます。

生活保護を受給する家族で子供が生まれる場合は、出産の際に出産扶助を受けられます。

生業扶助

生業扶助とは、今後就労するために必要な技能を習得するためなどにかかった費用を支給してもらえるシステムです。

例えば高校に進学しないと就労が厳しいということなら、進学後に生業扶助を受けられます。高校は義務教育ではないものの、現在の日本では高校を卒業しないとなかなか就職がしづらい状況です。

将来的に対象世帯が生活保護を受けなくても無事に暮らしていけるようになるためには、対象者には生業扶助を受給した方が良いということでしょう。

葬祭扶助

葬祭の際にお金がかかった場合は、定められた範囲内で実費を支給してもらえます。

誰かが亡くなった時などは、葬祭費用を生活保護で負担してもらえるのです。

条件・年齢別で生活保護受給額を解説!

ここまで解説した通り、生活保護の受給額は、住んでいる地域や世帯人数、家庭の構成などによって細かく変化します。

ここからは、生活保護の具体的な支給額を、いくつかの条件を設定しながら解説します。

なお、ある程度条件を統一した方がわかりやすいので、「都会」と記載しているエリアは1級地-1である「東京都23区」、「地方」とするエリアは3級地-1である「北海道北見市」として、金額を記載します。

高齢者(70代)の一人暮らしの受給額

都会において、70代の高齢者(障害なし)が一人暮らしをする場合の受給額は、128,330円です。

生活扶助が74,630円、住宅扶助が53,700円となるので、合計128,330円です。

今回「都会」として東京23区を設定していますが、小さなアパートに住みつつ、光熱費や食費を払っていくのであれば、なんとか暮らしていける金額ではないでしょうか。

一方、同じ高齢者の一人暮らしが地方で暮らす場合の支給額は、87,960円となっていました。

都会と地方で40,000円以上も金額に差があるので驚いてしまいますが、物価や家賃などの違いがあるので、ここまで大きな差があっても最低限の暮らしをするには問題ないということでしょう。

なお地方の支給額の内訳は、生活扶助62,960円、住宅扶助は25,000円です。

住宅扶助の金額の少なさが目に入りますが、地方だとワンルームの小さなアパートなどであればこの金額でもなんとかなるためでしょう。

高齢者(70代)夫婦の受給額

都会で暮らす70代の夫婦に支給される生活保護費は、合計174,060円です。

内訳は生活扶助が110,060円、住宅扶助が64,000円となっています。

前項で紹介した単身世帯と比べると、45,370円ほど高額となりました。

一方、地方において70代の夫婦が生活保護を受ける場合は、合計122,860円の生活保護費が支給されます。

生活扶助92,860円、住宅扶助30,000円ということで、都会と比べると金額は51,200円少なくなります。

一人暮らし、20〜40歳の受給額

20〜40代で生活に困っている、一人暮らしの方が都会で受けられる生活保護の受給額は、132,930円です。

生活扶助が79,230円、住宅扶助は53,700円で、70代の高齢者よりも生活扶助が4,600円増加しています。(住宅扶助は同額)

4,600円分を食費などに使い、最低限健康に暮らしていくこととなるでしょう。

一方地方に住んでいる場合の受給額は、91,840円で、内訳は生活扶助が66,840円、住宅扶助が25,000円です。

地方と都会での金額差は、41,090円となっていました。

母子家庭(40代+小学生)、2人暮らしの場合の受給額

40代の母と小学生の子供という構成の母子家庭2人暮らしの場合、受給額は都会だと212,240円となりました。

生活扶助基準額は115,450円、住宅扶助は64,000円ですが、母子家庭の場合「母子加算」22,790円と児童養育10,000円が加算されるので、合計金額がアップしています。

学校で使う文房具や画材など、様々な費用がかかり、さらに子供の育児も大変ということで、約33,000円が加算されているのです。

そして地方の場合の受給金額は157,030円で、生活扶助は97,410円、住宅扶助30,000円に加えて、母子加算19,620円と児童養育10,000円が加算されています。

都会と地方の差額は、55,210円となっていました。

児童養育加算の金額は、今回の条件では都会でも地方でも同じ10,000円です。

3人家族(40代の父、母、小学生の子供)の受給金額

40代の夫婦と小学生の子供一人の3人家族が都会で生活保護を受ける場合は、受給金額が233,420円となっています。

生活扶助は153,620円、住宅扶助が69,800円に加えて、児童養育加算が10,000円あるためです。

母子家庭ではない条件に設定されているので、母子加算がない分、子供がいることによる加算額は下がっています。

一方地方では、172,610円が支給されるしくみで、内訳は生活扶助129,610円、住宅扶助33,000円、児童養育加算が10,000円でした。

地方と都会での差額は、60,810円と大きめです。

身体障害(1・2級)を持つ40代の一人暮らしにおける受給額

1・2級に該当する身体障害を持っていて、都会に住んでいる一人暮らし・40代の方の受給額は、160,170円です。

通常の生活扶助80,160円+住宅扶助53,700円に加えて、障害者加算が26,310円あるので、合計金額が上がっています。

地方の場合の金額は、115,260円となっていました。

内訳は生活扶助が67,630円、住宅扶助が25,000円、障害者加算が22,630円で、都会と地方での差額は44,910円です。

まとめ

生活保護は、どうしても生活に困窮してしまっている世帯が受けられる制度で、生活保護で支給されるのは住宅扶助や、生活扶助などです。売却できる資産や働いて賃金をしっかり得られる能力などがある場合は、生活保護を受けられないこともあるので、要注意です。

医療や介護などの費用は、必要に応じて支給されるしくみとなっています。世帯の人数や家族構成、そして住んでいる場所によって、もらえる生活保護費は大きく変化することに気をつけましょう。

生活保護を受ける際は、福祉事務所や町村役場の担当窓口に足を運んで、相談を受けてみてください。ただし、ご説明した通り受給には条件があり誰でもお金を受け取ることができる訳ではありません。

また、受給開始まで時間が必要になりますので、急ぎでお金が必要な方は保護を受けるまでの間、別途生活費を用意する必要があります。急いでお金を必要とされる場合は、お金がないときの用意の仕方を参照してみてください。